遺跡は発掘される
後で書き直す。
サイトを閉鎖したくなった。だから「閉鎖」した…。でも、自分の中では閉鎖したことになっていても、webではそうなっていない場合があります。
発掘されるケースその1 アカウントだけ削除して、ファイルを削除してない
さあ、閉鎖しよう。まずはサーバのアカウントを削除しよう。
でも、ちょっと待ってください。サーバーのユーザーアカウントだけ削除して「終わった」と思っていませんか?
- サーバーのユーザー管理のページにログイン
- 「アカウントを削除する」「退会する」といった感じの項目を選択する
- 「アカウントは削除されました」「メールを送りました」といった主旨のメッセージが表示される
- 安心する
閉鎖=アカウントの削除=サーバ上のファイル削除ではないことがあります。ためしに、削除したはずのサイトにアクセスしてみてください。ページが表示されませんか?トップページだけでなく、他のページはどうですか?
使用しているサーバの仕組みによりますが、アカウントの削除の前にファイルを削除しないと、「閉鎖」したはずなのにサイトが残っている、という事態になってしまいます。注意深く作業を進めると、アカウント削除の前に「サーバ上のファイルを削除してください」といった内容のメッセージを見ることもあるかもしれません。ファイルを削除せずにアカウントを削除してしまうと、ファイルを管理する権限がなくなってしまうため、サーバ管理者が削除するまで延々公開されたままという状態もありえます。
そのような状態をよしとせず、「これこれこういう事態だから、アカウントは削除しちゃったけど、ファイル削除をお願いします。」といった問い合わせをサーバ管理者にしたとしましょう。しかしながら、管理の行き届かないサーバというのもあるもので、問い合わせをしても一切返信がない、もちろん対応もしてもらえないということはしばしばあることです。
こうして、またひとつ遺跡が誕生することになります。
発掘されるケースその2 検索サイトのキャッシュ
サーバー上のファイルを削除してからサーバーのアカウントも削除した、これで本当に閉鎖だ。
でも、ちょっと待ってください。サイト名やサイトのURLで検索してみたとき、「キャッシュ」といったような文字が表示されませんか?
以下に、キャッシュを使用する一例を挙げてみましょう。
以前あった、「ジオシティーズでの画像の表示の確認に関するページをもう一度みたい。URLはわかっている。
http://www.geocities.jp/x_mono_mono_x/kakunin/kakunin.html
しかし、サイトはすでに削除されており、このファイルにアクセスしても見ることができない。
googleで検索し、検索結果を見てみる。検索結果のそばに「キャッシュ」の文字があるのでこれをクリック。検索エンジンで保存している、ペ−ジのキャッシュが表示される。(完全ではないこともある)
こんな感じに、すでにサーバ上に存在しないファイルを見ることができるのです。しかも、「もう閉鎖したから削除して」と言っても、即時対応してもらえるところはまれです。
こういった場合に意外と足を引っ張ってくれるのが、サーバが用意してくれた「エラーページ」。無料サーバなどで、自動で表示されるエラーメッセージファイルのことです。検索サイトに「このURLはもう無効だから削除して」と申請しても、「HTTPステータスコードで404が返ってこないと削除しない」と却下されてしまうことがあります。
また、登録していたリンク集や、書き込みをした掲示板のログなど、意外とキャッシュされているものです。自分が使用しているサーバ内のファイルでない場合、検索エンジンから、自分のサイトのあった痕跡を完全に消すことはまず無理と思った方がいいようです。
発掘されるケースその3 web archive
サーバー上のファイルはすべて削除した、検索サイトのキャッシュや検索結果も自分ができる限り削除してもらった、これで本当の本当に閉鎖だ…。
でも、ちょっと待ってください。webで利用できるサービスに、「web archive」(http://www.archive.org/web/web.php)というサイトがあります。このサイトを使用すると、検索サイトのキャッシュにも残っていないファイルを見ることができることがあります。
たとえば、ジオシティーズのトップページ(http://geocities.yahoo.co.jp/home)を検索してみる。「The Wayback Machine」の項、http://と書いてある欄に「http://geocities.yahoo.co.jp/home」を入力し、「Take Me Back」ボタンをクリック。
すると、以前のジオシティーズのページを見ることができる。
これは問い合わせてみると削除してもらえるようです。が、英語で問い合わせなくてはいけません。
発掘されるケースその4 web魚拓
ケースその3のwebarchiveと似ていますが、巡回ロボットが巡回してきたときにキャッシュされるのとは違い、キャッシュが必要だと思った人が自分の意思でキャッシュをとることができます。
発掘されるケース番外 利用しているwebサービス
サーバ上のファイルはすべて削除した。検索結果もある程度までは削除してもらった。幸運にも、web arachiveも削除できた。これで本当の本当の本当に閉鎖だ。
でも、ちょっと待ってください。なにかレンタルサービスを利用していませんか?
ブログ・日記、掲示板、メールフォーム、web拍手、チャットなどなど。これらも検索に引っかかります。そのサービスは削除の可能なサービスですか?
たまに、ユーザー登録を削除できない(退会できない)サービスというのが存在します。もともと退会(ユーザー登録の削除)の機能がないもの、途中でサービス業者からの管理が放棄されてしまったもの、サービスの管理者への問い合わせ先の記載すらないもの。
これらも、いったん閉鎖を決意すると非常に厄介な代物です。データが自分の管理できる領域にはないために、特に検索エンジンの結果に表示して欲しくなくなったなどの場合にまったく対処ができなくなってしまうからです。
まとめっぽいもの
閉鎖というのは衝動的に行ってもいいことはあまりありません。サーバのアカウントは決して削除せず、淡々とファイルのみをサーバから削除しましょう。ファイルはローカルにバックアップしておいてもよいでしょう。(ただしそれをそのまま別の場所で公開するのは遺跡発掘の一助となります)